いのちの水

 現在の日本は、水道の蛇口をひねればいつでも必要なだけ水が出てきて、簡単にいくらでも手に入れることができます。そのため、水は豊かにあると思いがちで、貴重な資源であると考える事はあまりないのではないですか?
 ここ数年、暑い季節になってくると、「ダムの水が少なくなりました。水を大切にしましょう。」、「ダムに水がありません。節水に更にご協力下さい。」、このような言葉をよく耳にします。また、地域によっては断水したところもあるんじゃないですか。
 曹洞宗梅花流詠讃歌(御詠歌)の『高祖承陽大師道元禅師讃迎御和讃』に、

   末の末まで案ぜられ、水一杯をつかうにも、
   その半杓は残してぞ、恵ませたもう親心

という一節があります。
 これは柄杓(ひしゃく)に一杯の水をおとりになった道元禅師様が、必要な半杓分だけお使いになり、残りの水はもとの川の流れに戻されたという、『杓底の一残水』という話がもとになってます。自然は大切で、今使わせていただける水は、必要以上に使って無駄にしてはならない。後の世の人のために半杓のお水をお返ししたいという心。つまり一杯の柄杓の水を使うにも、佛が佛の行いをするという自覚にたって親切に使っていかなければならないという事です。
 愛知県の『家庭でできる簡単な節水方法』によると、朝の洗面、歯磨きの時に水を流しっぱなしにすると、30秒で約6リットルもの水が無駄になるそうです。また、環境庁版『環境家計簿運動の進め』によると、1年間1日3分間水の出しっぱなしをやめると水は19,710リットル、二酸化炭素は3.2s(約5,900リットル)おさえられるそうです。
 これからは、たかが水と考えず必要な分だけ使うようにし、むだな使用をなくすように努めていきたいものです。また、水に限らず、森の緑、電気、ガス、その他全ての物に佛様の命があるのです。皆様も佛が佛の行いをするという自覚に立って、毎日の生活の中の、いろいろな物の使い方を考えてみてはいかがですか。全ての物にまごころを持って生活していただきたいと思います。
 地球温暖化が言われる昨今、これらの事の実践が二酸化炭素の排出も抑え、“エコ”地球に優しい生活、地球に迷惑の少ない生活になるのではないでしょうか。



環境庁版『環境家計簿運動の進め』
http://www.env.go.jp/earth/cop3/kanren/panfu/kakei/ss_idx.html
愛知県土地・水資源課の
『家庭でできる簡単な節水方法』
http://www.pref.aichi.jp/tochimizu/mizu/sesuihouhou.html